
花火の丸玉屋がISO9001 を認証取得し、質の高い花火ショーの実現へ。
*2008年12月にISO9001:2008年版に移行
株式会社丸玉屋は、1990年7月に会社を設立してから今日まで「東京湾大華火祭」「JRA 東京競馬場花火大会」「モントリオール国際花火競技大会」などの国内外の花火大会、花火ショー、花火イベント、ウェディング花火の企画・演出・制作までを手掛ける。横浜・八景島シーパラダイス、その他全国各地のテーマパークやスポーツイベント、音楽コンサートなどでは魅力的な花火演出を披露。また、アメリカ「パイロデジタル・コンサルタント社(P.D社)」の開発した花火専用コンピュータ(パイロデジタルシステム)を世界に先駆けて導入するなど、常に時代をリードする技術革新に挑戦し、花火のエンターテイメント性を追求して止まない。

ISO9001 とJISQ2001 の二本立てで、品質の向上と保安の確保に努める
2004年12月、丸玉屋は業界に先駆けて全社でISO9001を認証取得し、先行取得したJISQ2001(リスクマネジメント・システムの国家規格)との二本立てにより、常に精度の高い花火ショーを提供しながら、無事故への追求を深めている。
2008年12月の継続審査でISO9001:2008年版を取得し、花火に関するイベントの企画・運営、煙火・資材の流通・販売を認証範囲としながら、更なるパフォーマンスの向上とあらゆる分野におけるリスク管理の周知徹底を図っている。
「花火は火薬類取締法で製造から消費まで厳しく規制されているように、常に危険が伴います。当社ではまず全社的なリスクマネジメントを組織的に実行するためにJISQ2001を取得。それを足掛かりとして安全を十分に確保しながら、質の高い独創的なショーを追求するためISO9001の認証を取得しました。
今はこれまで構築してきた品質マネジメントシステム(QMS)を如何にして効率的に運用できるかに主眼を置いています。例えば、業務改善や組織改善に繋がる是正・予防活動は日頃から積極的に取り組み、パフォーマンスの向上に役立てています」(品質管理室室長・似吹貴博氏)
写真は花火ショーイメージ
あらゆる分野でリスク管理を徹底
花火の製造を行う製造工場と、花火玉などを保管する火薬倉庫などがある茨城事業所では、火薬類取締法に基づき厳重な保安対策が義務付けられている。そこで、ISO取得を契機に火薬搬入や資材・機材搬入時の受け入れ検査や、仕分け・加工・梱包などの作業手順を茨城作業管理規定として策定、保安確保とコンプライアンスの徹底に注力している。
火薬の受け入れ検査では、火薬責任者が火薬庫及び危険工室に搬入された煙火及びパイロ(演出用花火)を受け入れ検査表をもとに検査の合否を判定。また、資材・機材の受け入れ検査では、資材・機材責任者が同じく受け入れ検査表と照らし合わせながら厳重なチェックを実施している。
一方、仕分け・加工・梱包作業については、火薬責任者が「花火使用明細」に基づき、煙火の仕分けを行う。火薬責任者は穴、ヒビ、へこみなどの変形・異常がないか、点火玉が付いているか、打ち揚げ薬があるか、火薬が入っているかを丹念に検査する。
「火薬や資材・機材の受け入れ検査は、以前から行っていましたが、きちんと規定を定めて統一的に取り組むようになったのはISO を取得してからですね。また、役割分担と責任を明確にして、“誰が何をいつまでにやるか”を工程表に基づき進行を管理することで、業務改善の着眼点が明確になりました。
これらはどれもISO の基本部分ではありますが、以前は曖昧にしていた点も多く、見落とされた部分でもありました。今では継続審査や更新審査、内部監査が実施されるたびに、不適合に対しては問題解決までの是正処置や予防処置が求められるので、従業員一人ひとりの意識が高まったようですね」(似吹室長)
写真は仕込みの様子
自主保安基準を設定
花火製造時や花火大会中の事故がいまだに聞かれる。原因は花火自体の不具合が原因で起こる場合もあるが、日本煙火協会の事故事例集などを見てみると基本的な安全対策を怠ったケースが少なくない。
丸玉屋は約20年以上前から花火技術者を保護するための点火用シェルターを用意し、遠隔地からのコンピュータ制御による点火方式を採用して細心の注意を払っている。また、花火の大敵とされる静電気対策として、常に静電気除去用のリストバンドやスリッパの着用、除電マットの設置などを義務付けている。
加えて、長年培われた経験則をもとに自主保安基準を設定。例えば、打ち上げ現場の特性や本番日の天候に応じて、通常の立入禁止区域の保安距離よりも更に広い自主保安距離を算定し、万全な安全対策を講じている。

丸玉屋はISO 取得を機に毎月一回、社長をはじめISO事務局や各部門の管理責任者が出席する品質会議を開催している。この会議では各部門の品質目標の進捗状況や
カリキュラムの達成状況の報告や業務の改善提案、社長への提言などが行われる。
「月一回のペースでやっているので、社内の風通しが大変良くなり、意見交換も活発になりました。今では社長と社員が活発な意見交換や議論をするようになっています。このような意見交換からその後の業務改善に繋がったケースも少なくありません。例えば、各部門が関係す
る花火玉の発注方法については、花火玉を発注する側とそれを保管する側とが意見を調整し功を奏しました。本社や大阪オフィスでは、繁忙期の前になるといろいろな種類や大きさの花火玉を発注します。
一方で、茨城事業所にある火薬倉庫では入念な受け入れ検査を実施した上ですべての花火玉を一時保管します。同じ玉でも部門ごとで名称や発注時期が異なる場合もあるため、繁忙期が近付くと多少の混乱や不具合が予想されました。そこで、花火玉は一括して発注し、火薬倉庫の混乱を避けるために発注時期を早めて受け入れ検査の時間的な負担を緩和することにしました」(似吹室長)
写真は花火の筒
初回審査からBSI ジャパンとの付き合いが続いているが、これまでの審査については、次のように評す。
「例えば、力量の評価基準について単刀直入に伺うと、担当審査員は人が人を評価することは大変難しいことですが、一つの目安として①具体的には誰か付いていなければできない、②一人でできる、③誰かに教えられる、という区分にすると良いとアドバイスされました。確かにこうすると心に鮮明なイメージがわき大変よく理解できました。そういう意味ではBSI ジャパンとはとても良い関係が続いていると思います」(似吹室長)
丸玉屋はそれぞれの花火大会、花火ショー毎に顧客満足度調査を実施している。調査項目は演出方法や音楽、営業担当者の評価、現場担当者の満足度、安全対策の方法などの十数項目にまとめ、請求書と同封して発送する。回収率は7割に達し、中には厳しい意見や指摘も見受けられるという。回収された調査票は品質管理室が収集し分析して、今後の業務改善に結び付けている。
今後の取り組みとしては、ISO のための仕事のやり方を減らしISO 色を徐々に薄めつつ、日常業務においては自然体でありながらISO を上手に活用できるように心掛けていきたいという。
写真は花火ショーイメージ
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