ISO9001:2000 日本農産工業株式会社(神奈川県横浜市)
ブランド卵「ヨード卵・光」で有名な日本農産工業(株)は、研究開発センター及びバイオ研究所つくばラボに次いで、本社・飼料本部(原料部・生産企画部・畜産飼料部)及び品質保証部などの7サイトでISO9001の認証を取得した。 日本農産工業はすでにグループ企業13サイトでISO14001の認証を取得しており、“環境・安全” をキーワードに、食の安全安心をさらに追及していく。
当社は研究開発センターとバイオ研究所つくばラボでISO9001を認証取得していましたが、当面その他のサイトへ認証範囲を拡大する予定はありませんでした。 しかし、水島工場の事故(次頁以降参照のこと)を受けて、従来の品質管理体制の早急な見直しを迫られました。 そんな窮地の中でISO 取得活動をスタートしましたが、社員一人ひとりが強い危機意識を持つことによって、ISO 推進の原動力になったようですね。
当社ではISO9001をはじめ、ISO14001、5S、抗菌性飼料添加物含有配合飼料GMP、内部統制などのマネジメントシステムが同時並行的に進んでいます。 現場が混乱しないようにそれぞれの特性を十分理解することはもちろんですが、仕事のやり方をただ規格に合わせるのではなく、今までやってきたことを規格の内容に適応することが大切だと感じています。」
(代表取締役社長・堀尾守氏)
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規格/スキーム ISO9001 品質マネジメントシステム
基幹飼料工場を中心にISO9001の認証を取得
大手配合飼料メーカーの日本農産工業株式会社が、本社(横浜)をはじめ、水島工場(倉敷)、西日本支店(倉敷)、志布志工場(倉敷)、九州支店(鹿児島)、ニッチク薬品工業(関係会社・神奈川)等でISO9001の認証を取得した。 認証範囲は飼料・飼料添加物及びライフテック関連飼料の設計・開発、製造、飼料と食品の検査・分析業務及びDNA 実験で、認証サイトの従業員220人が対象。
2006年2月、水島工場において飼料安全法に定められた数値以上の抗菌性飼料添加物を誤って配合し製造・出荷するという事故が発生した。 日本農産工業では、その事故を契機に製造工程及び品質管理体制を抜本的に見直し、具体的な管理手法としてISO9001に着目、その取得を決意した。
キックオフ大会で堀尾社長は、ISO は取得することが最終目的ではなく、より良い方向へ向かって社員一人ひとりが思案し、PDCA サイクルを回しながら自分たちのものにすることが大切と力説した。
推進体制は全体を統括するISO9001事務局を本社・品質保証部に設置し、対象サイトにもそれぞれ事務局を置いた。事務局はQMS(品質マネジメントシステム)の運営責任者である管理責任者をサポートし、また、経営層と現場との橋渡し役を務めた。
実際の取得活動ではISO の規格用語の理解に頭を悩ませたというが、専門用語については事務局ができるだけ分かりやすく翻訳して理解を図っていった。
→ 今後の展開へ続く
写真はキックオフ大会風景
ISO で企業に課せられたあらゆる対応が可能
本農産工業のISO 運用のスタンスは、失敗してもいいからまず使うこと。 そして、最初は出来が悪くても日常的に活用することで確実に業務改善が図れると信じている。 ISO9001の浸透度合は職場ごとに若干異なるようだが、とくに工場でのメリットが大きいという。 また、抗菌剤GMP の認証取得活動においても、事前にISO へ取り組んだおかげでいろいろと応用が利き、導入しやすかったと事務局は口を揃える。
堀尾社長が終始一貫しているのは、ISO取得がゴールではないということ。 そのことは、工場や研究所などを視察した際や折に触れて社員へ言い続けている。 それは、ISOが良い製品を効率的に作る機軸となり得ること、そして、企業の社会的責任(CSR)やコンプライアンスの推進にも対応できる可能性を秘めていることを十分認識しているからである。
企業は顧客や消費者などに対して説明責任を果たす社会的義務を負い、生産管理や品質管理はもちろん社長の考え方やその言動に至るまで、万が一、問題が発生した場合には素早い対応ときちんと事実を検証できる体制が求められている。 その点についても、ISO の“見える化” により、実情と問題点を誰もが常に認識できる仕組みを整えたり、リスク対応に関してもきちんとマニュアル化したりすることで常に最善策を講じている。

「マニュアル作成の完成度は65点です。 先行して取得した研究開発センターの品質マニュアルをベースに作成しましたが、ISO の規格要求事項に準ずる形式でまとめられているため、多少読み難い点もあります。
しかし、取得して間もない時期としてはこのくらいのでき映えで良いのかなと思っています。 将来的にはもっと読み易いマニュアルに改善し、また、認証範囲の拡大に伴い、より汎用性の高い内容に改めていきたいですね。 昔は最終製品が良ければすべてOK でしたが、現在は製造のプロセスが重視されるようになりました。 今では社員の意識も向上し、工場でもいろいろな工程の妥当性を確認しながら設備を動かそうという意識が高まりました」
(品質保証部・田中秀一部長)
今、日本農産工業が抱えている課題の一つに、まだまだベストプラクティスが社内で共有化されていないことが挙げられる。 そこで、四半期に一度行われる業績レビューの議事録は、イントラネットの電子掲示板に掲載され、全社員がいつでも閲覧可能な状態としてある。
→ 審査感想へ続く
写真は本番審査風景
審査は勉強になった
審査の感想を次のように語ってくれた。
「工場や事業所の実地審査に同行しました。審査員は丁寧で且つ熱心に応対してくれました。 審査に付随したアドバイスも的確で、審査員が納得するまで質疑応答が繰り返されるのだと妙に納得してしまいました(笑)。 また、認証授与式の時には、『経営層からこういう観点で審査してほしいというリクエストがあればいつでも言ってください』と声を掛けられ、非常に本質的な付加価値の高い審査をされる審査登録機関だと感じました」
(田中部長)
「ISO14001の審査記録の内容と比べて、ISO9001の方が幅広く見る審査だと実感しました。 実務の内容に沿ってきちんと細かな記録と照合しながら審査は進みました。 いろいろと指摘を受けたことがシステムを見直す良いきっかけになりました。 審査員の一人が食品関係の専門家でしたが、食品で求められる衛生管理や品質安全管理の視点で見るとまだまだ配合飼料は管理レベルを向上する必要があることを認識しました。 やはり、最終製品の検査だけではなく製造工程をきちんと作り込んでいくことがこれからのテーマであり、そのためにもまだまだ業務プロセスの改善が必要ですね」
(品質保証部・松本朋彦課長)
ISO の取得以降は、例えば水島工場では、工場長が工場の生産効率を良くするためにデータ分析を実施し、それを受け「盛りきりバラ」と称し、タンクを空にすることにより、回転率を上げるなどの工夫も見られるようになったという。
堀尾社長は、ISO は企業が社会から要請されるCSR のほとんどに対応できるという一方で、ISO は決して金科玉条ではないと断言する。 ここ数年、企業活動を巡る事故や不祥事は後を絶たないが、それらの企業のほとんどがISOを取得しているという現実を無視することはできない。 そのためにも、堀尾社長の終始一貫した姿勢は、今後継続的な改善を達成するための精神的な支柱となっているようだ。
写真は認証授与式の様子
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